例えば、生前に長男は建物をもらった、弟は学費のかかる大学に通ったなどの事例で、問題となります

争いになると調停や審判の費用が高額になりますし、また特別受益は証拠が残っていないことが多く、認められるケースはわずかです。

例えば、特定の相続人が生前贈与を受けていたことにより、遺産がほとんど残っていなかったら、贈与を受けていない相続人は納得がいかないと思います。

どう捉えるかは、遺産分割協議で話し合って決めますが、意見がまとまらなかったときには家庭裁判所に調停を申立てる方法があります。


1.特別受益


①特別受益の意義

 

 被相続人から相続人に対して遺贈された財産、及び婚姻養子縁組のため、もしくは生計の資本として生前贈与された財産をいいます(第903条第1項)

 

 例えば、特定の相続人が生前贈与を受けており、それによって遺産がほとんど残っていなかったら、遺産分割がまとまらないことがあります。

また、事業資金の援助を受けたり、自宅の名義を自分にしてもらったなどの場合には、特別受益であるという認定を受けやすくなります。

特別受益に当たるか、あたるとしてその額をどう評価するかは遺産分割協議で話し合って決めますが、意見がまとまらなかったときには家庭裁判所に調停を申立てることになります。

特別受益には期間の制限がないため、何十年も前の古い話が主張されることがあります。 しかし、このような古い話には証拠が残ってないことが多く、実際の調停や訴訟でも認められるケースは1割ほどです。

入出金照会などの客観的な証拠がない限り、裁判所で争って認められることはないと思われた方が良いでしょう。

 


②特別受益の持戻しとは


被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額に生前贈与の額を加えたものを相続財産とみなし、これに各相続人の法定相続分(指定があるときは指定相続分)を乗じ、生前贈与を受けた相続人については、その算出された額から生前贈与の額を差し引きます(民法903条1項)。

このような計算をして各相続人の取得額を調整することを特別受益の持戻しといいます。

これによって、生前に財産を受けた者は、相続分から生前に受けた財産の額を引かれることになり、相続の場面での取り分が減ることで他の相続人との公平を図ることができます。



③特別受益の持戻し免除  


 特定の相続人への生前贈与等が特別受益に当たるとしても、被相続人がその持戻しを免除することができます。

免除されると、生前に贈与された者は、その贈与とは別に相続財産から承継をうけることになり、結果的に他の相続人より多く承継することになります。



2.配偶者保護のための方策


特別受益の規定は、配偶者保護のため、一定の要件で修正されています。


903条4項

婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与によって第1項の規定を適用しない旨の意思を表示しないものと推定する。


長年連れ添った夫婦で贈与や遺贈された住居をキープしたうえで、残りの預貯金などの財産についても持分1/2を基準として遺産の分割をできることになり、配偶者の老後の生活の保障が強化されています。

Q&A

よくある質問

特別受益に関してよく受けるご質問をまとめています

  • # 01

    Q.特別受益があるとどういう問題が起きるのですか?

    何が特別受益になるのか、相続人同士で意見が分かれる場合は遺産分割協議の成立が難しくなってきます。

    兄弟の1人だけ留学費用を全部出してしまったなど、昔の話がぶり返されます。

  • # 02

    Q.特別受益の評価の基準時は贈与時ですか、相続時ですか?

    相続開始時です(受贈した財産が相続開始時にそのまま存在するとした場合の評価額)。

    建物を贈与された者がそれを壊したとしても、その建物が贈与を受けた当時の状態のまま存在するものとみなして、相続開始時の評価額を算定するのが原則です。

  • # 03

    Q.特別受益を考慮すると、具体的相続分がマイナスになるのですが、超過分を返却しなければならないのですか?

    遺産分割において超過分を返却する必要はなく、単に取得分がゼロとして扱われます。

    なお、遺留分の問題は別に残ります。

  • # 04

    Q.一部の相続人が生命保険金の受取人となった場合、特別受益となりますか?

    生命保険金は、被相続人の死亡を原因として相続人が固有の権利として受け取る利益ですので、相続財産には含まれません。

    ですので、特別受益には当たらず、遺産分割の対象とはならないのが原則です。

    但し、一定の場合には特別受益として相続財産に持ち戻される余地があります(最決平成16年10月29日)。

  • # 05

    Q.自分は4年生の私立大学を出ましたが、弟は私立の歯学部に6年間通い、学費と生活費をほとんど出してもらっていました。弟が親に出してもらった学費等は特別受益になりますか?

    特別受益に当たるか否かは、家族の収入や社会的地位等によって個別に判断されます。学費である以上は、一定程度の支出は親の負担すべき扶養義務か通常必要な生活費の範囲内に入り、これを超えた学費は特別受益になりやすいと考えます。

    学費だけでいいますと、4年生の私立大学と6年生の私立の歯学部では2000万近くの差がありますから、残った財産が不動産しかない場合等は、特別受益となる可能性があります。


  • # 06

    Q.事業資金としてお金を借りる際に親が保証人となり、債務を弁済してくれました。これは特別受益ですか?

    親が代わりに弁済しただけでは、本人に支払った額を請求できます(求償権といいます)ので、特別受益ではありません。

    その後、求償権を放棄したとか事実上行使しなかった事情の下では、特別受益となることが考えられます。

  • # 07

    Q.ある相続人が生前に贈与を受け、更に持ち戻しを免除されたら、その相続人が有利過ぎないですか?

    その場合、全ての相続人に最低限遺されるべき遺留分を侵害されたとして遺留分侵害額請求をすることになります。

    持分免除は、遺留分侵害額請求の際には意味がなくなるからです。

    ただ、遺留分侵害額を請求するにしても裁判所の手続きになる可能性が高く時間と費用がかかります。

    できれば、生前の対策をすべきです。




事前の対策が効果的です

遺産分割段階では調停か裁判になってしまいまい時間も費用もかかります。しかも実際には認められることも少なく、時間と費用が無駄になることが多いのです。

裁判で決着がついたとして、相続人間のしこりはずっと残ってしまいます。なぜ、親は遺言を書いてくれなかったのかと死後まで恨まれたくないと思います。

そこで、特別受益があるか迷われる場合、生前の対策としては遺言を作成することが考えられます

生前に特別受益を考慮した遺言を作成することで、死後に相続人が遺産分割で揉めて協議が長引くことを事前に防ぐことができます。

仮に遺産分割で揉めた場合、調停で話がまとまればまだ良いのですが、裁判まで行ってしまった場合はかなりの費用を覚悟しなければならないでしょう。

問い合わせ_R

千葉の司法書事務所ブライト

o1080094815101811027_R

千葉で無料相談実施中❕

士業としては入りやすい建物の外観。

初回相談は無料ですので、納得されるまで相談できます。


遺言作成の費用



業務内容 自筆証書遺言(法務局保管) 公正証書遺言 秘密証書遺言
遺言作成費用
 
40,000円 50,000円 40,000円
法務局への保管書類作成 10,000円 - -
公証人への費用 - ※別表
(最低1万6,000円)
-
証人立ち合い - 1名につき10,000円 -
書類集め取得&調査の場合 1通につき1000円 1通につき1000円1通につき1000円
調査のみ1通につき500円1通につき500円1通につき500円
合計50,000円~66,000円~40,000円~

※税抜きの価格です。

※事案の難易度によって変化があります。



※別表 公正証書作成基本手数料

遺言書に記す財産の合計額 手数料
100万円まで 5000円
200万円まで 7000円
500万円まで 1万1000円
1000万円まで 1万7000円
3000万円まで 2万3000円
5000万円まで 2万9000円
1億万円まで 4万3000円

※遺言加算・・・ 財産額が1億円までは,基本手数料に1万1,000円を加算。



アクセスの良さ

県道57号から50m

マルエツ鎌ケ谷店のそば

司法書士事務所ブライトmap 新_R

県道59号からも近く

新京成線三咲駅から五香駅までをほぼ直線で走る県道57号から50mなので発見しやすい事務所です。

白井方面から鎌ケ谷大仏駅を抜けて馬込沢駅方面に向かう県道59号からもアクセスしやすくなっております。

また、467号線から稲荷三差路を通る鎌ヶ谷の抜け道を知っている地元の方にとっても馴染みの場所かもしれません。

駐車場も広く、その近辺にお住まいの方にとってはアクセスのよい事務所です。

電車でしたら新京成線「鎌ケ谷大仏」駅から700m。

本数は多くないですがバス停までは60mです。

Access


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司法書士・行政書士事務所ブライト

住所

〒273-0122

千葉県鎌ケ谷市東初富6-2-1

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電話番号

047-443-2487

047-443-2487

FAX番号 047-443-2488
営業時間

平日 9:00~18:00

土曜10:00~17:00

(日祝の臨時営業は10:00~17:00)

定休日

日、祝(事前予約で臨時営業あり)

司法書士・行政書士

坂本忠博 (千葉司法書士会 登録番号1704号)、日本司法書士連合会

最寄り

新京成線「鎌ケ谷大仏駅」徒歩8分

船橋市の咲が丘まで600m。

白井市の富士まで1200m。


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